獣医師とは

獣医師とは、飼っている動物の診療や保健衛生の指導が主な仕事です。これらの仕事を通して、動物の保健衛生、畜産業の発展、公衆衛生の向上に貢献することが使命とされています。また、獣医師は国家資格が必要となります。国家資格を有していない場合、獣医師の名称や紛らわしい名称を用いて働くことは禁止されています。

具体的な仕事内容・勤務先

獣医師と一言で言っても様々な働き方があります。

臨床獣医師(小動物)

主に小動物を対象とした診療を行います。動物病院やペット(小動物)病院で働くことがほとんどです。獣医師と聞くと、これらの獣医師を連想しがちですが、獣医師免許を持つ者全体のうち動物病院などで働く小動物臨床の獣医は4割しかいません。

臨床獣医師(大動物)

主に大動物を対象とした診療を行います。競馬場の馬や水族館、動物園の展示動物が具体的な診療対象となります。一方で、競馬場及び動物園などへの就職は、施設や求人の少なさから非常に困難なものとなっています。

国家公務員としての獣医師

主な仕事は、輸出入における伝染病・感染症の流出・流入を未然に防ぐことです。職場は、厚生労働省および農林水産省の2つで、全国の空港や海港に設けられた検疫所や動植物検疫所で活躍しています。

地方公務員としての獣医師

主な仕事は、保健所などでの検査です。ニュースでよく見る病原性大腸菌(O157)やBSEなどの病原菌対策は地方公務員の仕事です。他にも、近くで動物が倒れていたり、動物虐待などの近隣トラブルに対応することも業務の一つとなります。

年収

獣医師の平均年収は、男性が約500万円~600万円ほどで、女性が約450万円~550万円です。※「平成29年賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)参照

獣医師の収入に関しては、動物病院などに就職してキャリアを積むか、独立開業して病院を経営するかによって異なります。独立する場合、成功すれば平均年収以上の収入は見込めるかもしれません。

獣医師になるには

獣医師になるには、獣医学課程のある大学で6年間学んだ後、獣医師国家試験に合格し、農林水産大臣から獣医師の免許を受ける必要があります。現在、獣医学課程のある大学は、国立大学、公立大学、私立大学を合わせて16校のみです。

獣医大学の難易度

獣医系大学に受かるためには、高い偏差値が必要です。また、獣医系大学は日本に16校しかなく、受験者も多いため、倍率が高い傾向にあります。以下は獣医系大学の偏差値情報です。

※国公立大学はセンター得点率順に、私立大学は偏差値順に掲載
※得点率および偏差値は前期日程を参照、私立大学の偏差値は一般・A方式を参照
※東京大学から獣医学科への進学については、理科2類からとして偏差値情報を表示
※各大学のボーダーは2019年5月現在のものです。
※参照:河合塾の大学入試情報サイト「Kei-Net」/2020年度入試難易予想ランキング表

<国公立大学> ※()内は二次試験の偏差値を示しています

センター得点率 学校名
90 東京大学 農学部 獣医学課程 (67.5)
87 北海道大学 獣医学部 共同獣医学課程(65.0)
85 東京農工大学 農学部 共同獣医学科(62.5)
大阪府立大学 生命環境科学域 獣医学類(62.5)
83 帯広畜産大学 畜産学部 共同獣医学課程(60.0)
岐阜大学 応用生物科学部 共同獣医学科(62.5)
82 山口大学 共同獣医学部 獣医学科(62.5)
鳥取大学 農学部 共同獣医学科(62.5)
81 岩手大学 農学部 共同獣医学科(62.5)
80 鹿児島大学 共同獣医学部 獣医学科(65.0)
宮崎大学 農学部 獣医学科(62.5)

<私立大学>

偏差値 学校名
62.5 日本大学 生物資源科学部 獣医学科
60.0 日本獣医生命科学大学 獣医学部 獣医学科
麻布大学 獣医学部 獣医学科
57.5 北里大学 獣医学部 獣医学科
酪農学園大学 獣医学群 獣医学類

獣医師国家試験について

出題内容:獣医療の基本的事項・獣医学の基本的事項・衛生学に関する事項・獣医学の臨床的事項
出題形式:必須問題50問と学説試験160問
合格基準:必須問題70%、学説試験および実施試験60%

合格率

例年の獣医師国家試験の合格率は、およそ80%前後となっています。以下は、平成31年2月19日及び20日に行われた第70回獣医師国家試験(平成30年度)の結果です。

受験者数 合格者数 合格率
新卒 977人 896人 91.7%
既卒 146人 38人 26.0%
その他 18人 8人 44.4%
合計 1,141人 942人 82.6%