麻薬探知犬訓練士とは

麻薬探知犬訓練士とは、薬の密輸入を防ぐ麻薬探知犬を育成する職業です。麻薬探知犬訓練士は、国家公務員で税関職員(一般職)でもあります。まず、国家公務員試験に合格し、各地の9つの税関で採用されて税関職員になることが必要です。その後、麻薬探知犬訓練士を希望し、各地の麻薬探知犬管理センターに配属されることでようやくこの仕事ができます。

具体的な仕事内容

主な仕事は、麻薬探知犬の育成と現場での実践です。

育成に関して

育成は、日本に一カ所しかない麻薬探知犬の育成・訓練施設「東京税関麻薬探知犬訓練センター」で行います。まず、ダミーと呼ばれるタオルを棒状に巻いたものを使用します。これを訓練士が投げて、犬に取ってこさせることから始まり、最終的には麻薬の匂いをつけたものを草むらなどに隠して、発見させるという訓練を行います。最も重要なのは、犬がダミーを見つけてきたら、大いに褒めてあげることです。こうすることで、犬は褒めてもらうために実際の現場でもダミー、すなわち麻薬を探すようになります。

実践に関して

約4か月の育成期間が終わると、今度は実際の現場で実践です。空港や港にある検査場や、外国からの郵便が集まる国際郵便局などで麻薬類をかぎ分けさせます。また、麻薬の発見を逃してしまった場合、全ての責任はその判断をした訓練士になるため、強い責任感が必要です。

その他

その他には、エサやトイレの世話・シャンプー・グルーミングなど、麻薬探知犬の健康状態を常に万全にしてあげることも仕事の一つです。

麻薬探知犬訓練士になるには

麻薬探知犬訓練士に必要な資格はありません。高卒以上であれば誰でもなることができます。下記が一連の流れとなります。

概要

麻薬探知犬訓練士になるには、国家公務員試験の*一般職に合格しなければなりません。国家試験に合格後は、各地の税関の採用試験に受かり、訓練センターで訓練士の素質があると判断されてようやく麻薬探知犬訓練士になることができます。

*これまで国家公務員の採用方式は「Ⅰ種、Ⅱ種、Ⅲ種」などと区別されていましたが、平成24年度から「総合職」と「一般職」に統一されました。

国家試験の合格基準と難易度

1次の筆記試験の合格ラインは、約6割と言われています。ただし、基準点より低い科目が一つでもあると即不合格になります。

官庁訪問とは

官庁訪問(個別業務説明会)というのは、各省庁との面接です。個別の説明を通じ、各省庁の理解を深めるとともに、面接官に自分をアピールする場となっています。ここでの評価が、希望の省庁に進めるかどうかに影響します。

向いている人

麻薬探知犬訓練士に向いている資質は、犬との距離感を意識できるかです。ずっと一緒にいると、つい甘やかしたり情が移りますが、それではただのペット。線引きをして接しないと仕事は務まりません。このことを理解して、犬と接することができれば、良い訓練士になれます。